鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Tousougu
- NO.B246
- 無銘 重光
- 寸法:80.1mm 76.2mm 4.6mm
- 時代:江戸時代
- 価格:¥1,100,000
- 「肥後金工大鑑」「肥後の金工」所載 「第三回熊本の美術 肥後の金工」出品作
春日(林)派は最も代表的な肥後金工として知られ、加藤清正に従って肥後に移住した初代又七により創始される。加藤家廃絶後に転封された細川家の抱え工となり、正保四年(1647)以降は春日村に住したことから、春日派と称される。家系は七代まで継承して繁栄した。その細美な地金・精巧な透・高尚な図取には君子の風趣があり、透鐔の中でも比類なき味があることから「鉄の華」とも呼ばれる。二代重光の算には、父である又七に範を取った謹直な透かしと雅趣に富んだ即興的な透かしのいすれの作風も遺されており、偉大な又七の跡を継ぎながらもそれを墨守するに留まらず、自分の個性を見つけるために挑戦し続けた魅力にあふれている。
ねっとりと豊潤な紫錆色を呈した堅丸形鉄磨地に、桐花と桜花を陰陽に大きく透かして配置している春日派伝統の図柄。本作は、佐藤寒山編著「肥後金工大鑑」(昭和39年発行)(p.103)に所載され、また、昭和53年9-10月に熊本県立美術館で開催された「第三回熊本の美術 肥後の金工」(加島進監修)でも林重光の作として展示、その図録に所載されている(41番)。肥後金工大鑑には、「図柄が優れている」との短評が記されている。なお、同様な図柄の重光在銘作が肥後金工大鑑に所載されている(p.83 細川家蔵)。催かに薄手ながら寸も透かしも大振りな造込で追力があって、大らかな図柄ながら堂々とした存在感がある。造込、錆付、品いずれも優れて、重光の傑作で貴重である。永らく熊本で収集家に愛蔵されてきた名鐔である。