刀剣界ニュース

海外版大刀剣市に学んだ相互交流の大切さ

日本は猛暑が続く中、アメリカのサンフランシスコへ。カラッとした快晴で、過ごしやすい天気でした。
 八月三日から五日までサンフランシスコエアポート・マリオットホテルのホールにて刀の即売会が行われた。いわば海外版大刀剣市。米国・ヨーロッパ各国・日本から八十店舗以上のさまざまなディーラーが出店する米国内で一番大きなソード・ショーである。
 特別重要刀剣や重要刀剣・重要小道具の名品から錆身の軍刀や小道具のうぶ品などまで、さまざまな日本文化の品物が各テーブルに所狭しと並んでおり、圧巻の光景である。終戦後持ち帰ったアメリカにはまだまだ多数のうぶ品や名品があるのかと、大変興味深い。
 会場内では公益財団法人日本刀文化振興協会の大塚寛信氏が柄巻きを、池田長正氏が研ぎを、それぞれ持参した道具を使って実演していた。米国内には研師も柄巻き師もごく少ないため、実際の仕事を知る機会が少なく、皆興味深く見ていた。
 ソード・ショーでは勉強会も各日に開いており、誰でも参加できる。
 初日は刀剣の鑑定会「古刀から新々刀まで」
 二日目は鐔の鑑定会「赤坂鐔や肥後鐔、透鐔について」
 三日目は刀装の勉強会「天正拵や太刀拵について」
 参加者は、写真を撮りながら、一点一点の説明を熱心に聞いていた。
 来場者は、年配の方、アメリカに在住の日本人や、若いカップル、家族連れなどさまざま。日本と比べるとアメリカの方が若い人が多く来場していた。
 海外には登録制度がないこともあって、多くの若者が日本刀に興味を持ってくれていることは素晴らしい。一方、昨今の日本ではやたらに銃刀法違反の事件が取り上げられ、日本刀の悪いイメージばかりが流れてしまう。負のイメージを脱却し、若い人にも日本刀の素晴らしさをもっと知ってもらい、今度の大刀剣市にも若い人たちにたくさん来ていただきたいものだ。
 アメリカのディーラーたちは、「大刀剣市ツアー」と称し、毎年の大刀剣市を楽しみにしている。英語の話せるスタッフがいる店は心配ないが、いなくても、彼らは
刀の専門用語を熟知しており、日本語でも会話できるので、ぜひ話しかけてください。
 今回の大刀剣市に合わせ、慶長堂のロバート・ヒューズ氏が海外からのお客さまとの交流機会を企画している。
 十月二十四日午後一時半から鎌倉にて刀剣の勉強会
 十月二十五日午後四時から新橋にてオークション
 十月二十七日午後七時から品川にて屋形船パーティー
 盛大だったサンフランシスコ・ソード・ショーに劣らず大刀剣市も素晴らしい催事なので、国内ばかりでなく世界各地の方々との出会いを大切にし、日本の文化の素晴らしさを多く広めていきたいものです。(新堀賀将)

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