刀剣界ニュース

「新作名刀コーナー」での出会い

「大刀剣市2012」は十月二十六〜二十八日、東京美術倶楽部において開催されました。
 四階には、日本美術刀剣保存協会と日本刀文化振興協会のそれぞれが推薦した五振ずつ、計十振の現代刀工の作品を展示する「新作名刀コーナー」が設けられ、私の太刀も展示していただける運びとなりました。
 まだ、一度も味わったことのない大刀剣市の雰囲気を感じてみたいと、思い切って姫路から東京に向かいました。
 会場に着くと、既にたくさんの人々が会場を埋め尽くし、想像以上の盛況でした。不景気と言われて久しいこの時代に、日本刀への高い関心は関係各位の創意工夫の賜物であり、刀を作っている私にとってもありがたい光景でした。
 また、魅力ある刀を作られている刀工の皆さまと同じ場所に飾られることは、高い目標に向かって挑戦し続ける動機付けにつながりました。
 二十七日の一日だけでしたが、新作名刀コーナーの説明係をさせていただきました。せっかく東京にまで来たのだから、与えられたチャンスを生かして、古今の名品が入り混じる中、現代刀に興味を抱いている方々へアピールをしようと思い立ちました。しかし、口下手なものですから、思いとは裏腹に、なかなかきっかけがつかめません。
 お客さまとの会話の中で、ひとつ思い切った質問をしてみました。「今作られている現代刀は、魅力的ですか?」。そんな強引な質問にもかかわらず、大半の方は、「いいですね。綺麗。何か凛としている」と良い印象の言葉をかけてくださり、大変ありがたく思いました。
 私たちが一途に作っている日本刀を見ていただけるこのような機会は、とても大切なことだと確信しました。その機会を作ってくださった全国刀剣商業協同組合の皆さまに感謝します。
 人生の過程で、日本刀との出会いが豊かな生き方につながる

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