刀剣界ニュース

組合事務所の理想の立地場所は?

 組合設立時の趣旨の一つに、「組合員のための刀剣会館を持とう」という目標がありました。会館というからには、こぢんまりしたビルを想定していたと思われます。
 まだバブル景気の始まる以前でしたので、市場運営歩金や賦課金、寄付金などを集めれば実現可能な目標でした。けれどもその後の不動産価格の急騰によって、目標の修正変更を余儀なくされました。
 そして、山手線新大久保駅最寄りの、築十五年ほどの堅牢な長谷工の施工による新宿スカイプラザ、一〇〇平方メートル弱のマンション兼事務所の購入に至ったわけです。組合事務所機能のためだけならば一〇〇平方メートルも要らず、その半分でも十分でしたが、交換市場の開催会場という予定もあったので、この広さでも足りないと思われたことでしょう。
 日に日に不動産相場が上昇する局面では、立地場所についての慎重な協議に割く時間も限られていたと思われます。バブルの真っ只中に購入したため、多くの企業と同様、組合は永くその不動産価値の下落に悩まされてきました。そして、借入金の返済も重くのしかかっていました。組合は市場交換会を毎月、夏も冬も休まず開催し、また一時期は月に二回開催していたこともありました。そうして得た歩収入のかなりの部分を、事務所購入借入金の返済に充ててきました。
不動産は「一に立地、二に立地」と言われるほど「場所」、今風に言うところの「ロケーション」がすべてという感がありますが、反面「住めば都」も言い得て妙です。
 大久保界隈は、組合事務所を開設したころに比べて、近年は韓流ブームの影響もあり、洗練されてきて活気があり、中年オ
バ様族だけでなく若い女性も大挙して押しかけ、コリアタウンと呼ばれるほどにハングル文字の店が激増しています。
 組合事務所の資産価値も若干は上向き加減かなと、街を歩いて実感するのですが……。
 現在、組合員から持ち上がっている事務所移転の案も、美術商・刀剣商の活動拠点が都心の、とりわけ交通の便のよい新橋周辺に集中しているため、大久保では不便で、イメージ的にもいまイチということでしょう。
 候補地としては、新橋・銀座・東京駅・神田・上野・浜松町・品川が挙がっています。いずれの地もJR、地下鉄など交通至便で、遠隔地からの飛行
機・新幹線からのアクセスもよく、美術商に必須のクルマの駐車場も整備されてます
 移転の方法として、物件を購入するか、賃借するかですが、対応して現在の組合事務所の処遇が浮上します。売却、賃貸し、そのまま保有などです。
 下見した銀座・歌舞伎座裏手の物件などは次号以降で紹介できればと思います。(服部暁治)

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