刀剣界ニュース

「大刀剣市」を終えて ―感動と感謝―

刀剣業界の年に一度のビッグイベントである「大刀剣市」が、大盛況のうちに幕を閉じました。私にとって大刀剣市への出店は初めての経験ですが、祖父の代に大刀剣市発足時のお手伝いをしたことがあり、頂いた表彰状は今でもお店に飾っています。
 
個人的にさまざまな思いの中、ぜひ一筆書かせていただきたいことがあります。それは「感謝」です。
 
大刀剣市実行委員の皆さま、そして開場前に列を成してまで、意中の品を他の愛好家より先に手中に収めようとの熱意を持ったたくさんのご来場者との出会いに感謝申し上げます。
 
われわれ刀剣商の基本精神である歴史と文化の保存と継承が、このようなたくさんの愛好家の皆さまのおかげがあってこそ成立し、刀職の技術のおかげで保たれている現実を肌で感じた経験は「感動」の一言でした。
 
特筆すべきは、無言の中にも雄弁に語りかけてくる日本の文化財を、国籍や言語を問わず理解し、また理解しようと苦心している海外愛好家の姿勢です。
 
刀装具の画題を熱心に聞いてきて、作者の思いを言葉や文化は違えど、聞き取ろうとする、海外の愛好家の純粋な探究心は、美術品を愛でる一番大事な姿勢でした。商売に徹するあまり、それを紹介する立場である私が忘れかけていたことであると気づかされました。
 
また美術品としての側面だけではなく、武士の魂としての日本刀を通じて、わが国の武士道精神に感嘆し、学ぼうとする海外愛好家の礼儀正しさにも驚かされ、このように海外からも評価されている日本の文化を正しく継承するためにより一層尽力せねば、と決意を新たにしたのも大刀剣市に参加させていただいたからです。
 
今回、大刀剣市の感想を書く機会をいただいたのですが、感謝文のようになってしまいました。実行委員の皆さま、そして日本各地、世界各国よりご来場くださった方々、素敵な出会いをありがとうございました。
(玉山名史刀・玉山真敏)

Return Top