新刀

粟田口近江守忠綱 彫物同作
Awataguchi Ouminokami Tadatsuna Carving by Himself

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K] Juyo Token No.25

粟田口近江守忠綱 彫物同作Awataguchi Ouminokami Tadatsuna Carving by Himself
  • No.682
  • 銘文:粟田口近江守忠綱 彫物同作
  • Sign:Awataguchi Ouminokami Tadatsuna Carving by Himself
  • 種別:白鞘脇差 Wakizashi and Shirasaya
  • 寸法:1尺9寸9分(60.4cm)反り1.2cm 元幅3.1cm 先幅2.1cm 元重0.7cm
  • 時代:江戸時代後期ー摂津国(大阪府)
  • 伝来 :鑑刀日々抄続、日本刀工辞典所載、篠原大二氏旧蔵品
  • 価格:御売約 Sold Out

江戸時代を代表する自身彫の名手として名高い刀工、一竿子忠綱の作品。
粟田口近江守忠綱は初代近江守忠綱の子で、後に二代目を継ぎ、一竿子と号した。彼の作風は、初期に於いては初代同様に焼き頭の良く揃った足の長い丁字乱れが多く、後には互の目乱れや濤瀾風の乱れ、さらには直刃なども焼いている。また彫物を得意としており、刀匠自身の手によって生み出されたそれは刀身その物を損ねることなくよく調和している。
本作は小板目肌のよくつんだ鍛えに、地沸微塵に厚くつき、地景細かによく入り、刃文は得意の濤瀾乱れを焼き、匂深で、小沸よくつき、匂口が明るい出来口を表している。腰元に添えられた倶利伽羅の彫は同作中でも群を抜いて濃厚に彫られた傑作で正面から捉えた大きな眼や躍動する胴体の鱗の一枚一枚まで実によく鏨が効いたおり、また保存状態もすこぶる健全で研ぎあたりはほぼ見られない。本間薫山著、鑑刀日々抄続にて「鍛と地刃の沸が同作中でも強く、佳作の部に入る」と評価され、藤代松雄著、日本刀工辞典では一竿子の初期、天和貞享頃の標本作として掲載されている。1尺9寸9分半の長さは2尺以上の帯刀が許されなかった江戸時代における町人差しの最長を狙った注文作と見え、60cmを超える為昭和二十六年の登録における区分は「刀」となっている。健全で豪壮な体を示した同工中の傑作である。

 

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