刀装具

大森彦七図小柄 銘 宗與
Kozuka design of Omori Hikoshichi Signed by Yokoya Soyo

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具[N.B.T.H.K]Juyo Tosougu No.65

大森彦七図小柄 銘 宗與 Kozuka design of Omori Hikoshichi Signed by Yokoya Soyo
  • NO.B160
  • 作者:横谷宗與
  • Maker:Yokoya Soyo
  • 時代:江戸時代 (1700-1766)
  • 価格:御売約 Sold Out
  • 金工銘鑑所載品

横谷宗與作小柄の重要刀装具指定作品。
宗與は元禄十三年に横谷宗寿の次男として江戸で生まれ、男児の居なかった宗珉の養子となり、享保十七年に四代目を継いだ。明和三年六十七歳にて没。作域は四分一磨地に片切彫のものが多いが、赤銅魚子地に高彫象嵌色絵の作も僅かに残されており、横谷宗珉の後継者としての力感、品格を備えた見事な出来栄えの物を見る。
掲出の小柄は太平記二十三巻の名場面として知られる大森彦七図である。
南北朝時代の武将、大森盛長(通称彦七)は湊川の戦いで楠木正成軍を破る手柄を立てた伊予の武将。ある夜、猿楽に出かけたところ、川を渡れずに困っている女人が佇んでいた。彦七は女人を背負って川を渡る。川の途中急に背中が重くなったので不審に思い、月明かりで川面に映った美女の顔を見ると、なんとそれは鬼の顔。実はこの鬼は楠木正成の怨霊で、彦七に祟りをなそうとするのがこの図の背景となる物語である。
浮世絵に多く描かれ、歌舞伎十八番としても著名な本図は、重要文化財に指定された利寿の作を始め、浜野政随、堀江興成など同時代の奈良派が得意とした感があるが、さすが名人宗與も見事であり、河を廃し、鬼女を睨め付ける彦七という独自の図案は迫力と存在感に満ち、正面から側面に巡らせた高彫と背面の片切彫は彼の真骨頂ともいえる高い技量を余すところなく示している。過去経眼した同作中でも最高の出来栄えを示した傑作である。



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